同位体比部会の前身は1956年発足の「同位体分離および濃縮部会」と1957年発足の「地質年代測定および同位体天然存在比精密測定部会」である。前者は「極微量質量分析部会」などを経て「同位体比の精密測定に関する部会」に引き継がれ、後者は「絶対年代懇談会」として1962年の第1回から1966年の第6回まで開催された(たとえば、緒方、質量分析 vol.31, 1983, 3-6)。両者は1965年の第5回絶対年代懇談会と第1回同位体比部会との合同会議、翌年の東京での同時期開催などを経て、1967年から正式に「同位体比部会」として発足し現在に至っている。

同位体比部会前身の発足当時は同位体比を精密に測定する技術水準はまだ不完全で、研究者はハード・ソフト両面でいろいろな問題を抱えていた。この解決法について、質量分析学会会員以外の人たちにもオープンな情報交換の場を持って、同位体比測定に関わる分野のレベルアップを目指すことが、この部会の主要な目的であった。

現在でもこの伝統は受け継がれており、この部会は同位体比測定を研究の手段としている人たちが、質量分析装置の開発・測定法・得られた結果の解釈などにおいて当面する様々な問題を持ち寄って議論する場となっている。従って、公式の学会発表のような完成した研究成果よりも、むしろ未完成・萌芽的なもので種々の解決すべき問題を孕んだ研究の発表を歓迎している。開催の世話は各地の会員が持ち回りで受け持ち、年一回静かな温泉地などの宿に参加者全員が2泊3日間泊まり込んで行なうのが特色である。最近の研究発表(話題提供)は同位体測定法、同位体変動の基礎過程、同位体地球惑星科学、環境科学など多岐にわたり、ポスター発表を含めて朝から夜中まで議論に花を咲かせている。最近の参加者数は80から100名程度で学生が半分近くをしめており、部会連絡用のメーリングリストには約300名が登録されている。

また、同位体比部会は過去に日ソ間や日中間の同位体地学・宇宙科学シンポジウムを開催するなど、国際間の同位体研究における日本側窓口としての役割も担っている。

世話人代表:平田岳史

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同位体比部会世話人

  1. 平田岳史(東京大学)ICPMS
  2. 福山繭子(秋田大学)ICPMS
  3. 長谷川秀一(東京大学)IonTrapMS, ICPMS
  4. 日高 洋(名古屋大学)SIMS, TIMS
  5. 松崎浩之(東京大学)AMS
  6. 丸岡照幸(筑波大学)IRMS, Noble Gas MS
  7. 南 雅代(名古屋大学)TIMS, AMS
  8. 折橋裕二(弘前大学)ICPMS
  9. 柴田知之(広島大学)TIMS, ICPMS
  10. 角野浩史(東京大学)Noble Gas MS
  11. 寺田健太郎(大阪大学)SIMS, Post-Ionization-SNMS
  12. 角皆 潤(名古屋大学)IRMS
  13. 山本順司(九州大学)IRMS, Noble Gas MS