研究室概要

長谷川研究室では、同位体利用・分析、量子コンピュータ、加速器X線を利用した社会インフラ診断、医療用RI生成、レーザー加工の分野での研究を行っています。
特に、光と物質の相互作用を利用した基礎とその応用という観点から研究を進め、イオントラップ、レーザー冷却の実験的研究を行っている数少ない研究室の1つでもあります。

この5つの項目を結びつけるものは何でしょうか。それは光を含めた量子ビーム利用技術です。具体的には、レーザー冷却、共鳴光吸収、光核反応、制動放射X線、レーザー加工技術などです。例えば、レーザー冷却とは、レーザー光によりイオンの運動エネルギーを操作することで、1つ1つのイオンを可視化できるようになっています。この技術を用いた、イオントラップ量子コンピュータはすでに基礎原理は確立されており、qubit数の拡張という明確な工学技術開発が求められています。

我々は微細加工技術を用いた新たなイオントラップを開発することで、それに答えることを目指しています。同様に、レーザー光共鳴吸収を利用した極微量同位体測定技術の開発、高エネルギー電子線の制動放射によって発生する高エネルギーX線と原子核の光核反応による医療用放射性核種の生成とその利用、高エネルギーX線を橋梁の非破壊検査にレントゲン撮影の形での利用、福島廃炉を進めるにあたって必要となる切断などへのレーザーの利用など、様々な分野への量子技術の利用を目指しています。これらを実現するための装置は世の中にないことから、多くの装置を研究室で設計・製作しています。どなたにも興味の持てることがありますので、是非一緒に研究をすすめましょう。

原子炉だけじゃなく、研究を応用して価値あるものをつくり、新しい情報を引き出せるようになることが目標

ウランの燃料を組み立てて原子炉にいれるところまでと、燃料を原子炉で使ってからその後に再処理をしてまた燃料にするのが核燃料サイクルというのですが、その部分を研究室ではやっています。自然界でウランは核分裂が0.7%ぐらいしかないのですが、原子炉で使用するときには3%以上に濃縮させる必要があります。またウランの燃料には、核分裂するものとしないものの2種類があって、どちらも元素としては同じなんですよ。微妙な違いを分離して濃縮するためには、違いを見極めないといけないので、レーザーを使って分けるという実験を私たちはやっています。(中略)

レーザーと物質の相互作用は、原子炉以外の他のところにも転用できないかというのが、今後のテーマの一つです。(中略)

東京大学 工学系研究科 原子力国際専攻HP より抜粋
http://www.n.t.u-tokyo.ac.jp/prospective/entrance-exam/study06/
飽くなきチャレンジ

装置を開発することや様々な原理を使うことにより、
実際に役に立つ新しいシステムを作ることに興味を持っています。
上手くいかないこともありますが、試行錯誤しながら、
実際に新しいシステムを作りながら研究を行っています。

私たちの研究室では、光と物質の相互作用を使って新しい機能を作り出そうとしています。その中の一つの機能が「測る」です。今までの装置だけでは測ることができなかったものを、装置の開発やいろいろな原理を使うことにより測ろうとしています。
光は波の性質を持っており、この波の山と山の間の長さである波長が光の色を決めています。物質に光を当てると、光の一部は物質に吸収されます。それぞれの物質は固有の色の光を吸収します。これは物質を構成して
いる電子の構造が異なるためです。また、レーザーを用いることで決まった波長の光を当てることができます。これらの原理を利用して、狙った物質だけにレーザーを用いて光を吸収させ、物質を選り分けることで気体中の物質を測ることができます。

学生が作る東大工学部 広報誌「Ttime!」2018夏号 より抜粋

工学系研究科 日本語教室
工学日本 語教育on-line course (SPOC:Small Private Online Course)より