高出力X線を用いたコンクリート構造物内部の透視技術を活用した橋梁調査 現場見学会

 PC橋(プレストレストコンクリート橋)において、経年劣化に伴う橋梁内部の異常やその予兆を早期に発見するため、X線透視技術の活用を目指し研究活動を進めています。今般、高出力X線を用いた透視技術による橋梁調査の現場見学会を、2025年6月19日に(株)高速道路総合技術研究所(NEXCO総研)と東京大学の主催で、静岡県富士市の施工技術総合研究所において実施しました。

 なお、本活動は、国の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)のうち「スマートインフラマネジメントシステムの構築」の一環として取り組んでいる研究テーマにおける活動になります。

【見学者内訳】  合計 10名
  橋梁管理者         3名
  保守サポート関連会社    3名
  施工会社          3名
  建設コンサルタント会社   1名

【見学会の様子】

【紹介されたX線透視技術】

 X線管よりも高出力・高エネルギーのX線が発生可能な可搬型電子線加速器X線源を用いて、これまで透視が不可能であった分厚いコンクリート内部構造物のクリアな撮像が可能になります。特に橋梁検査に対しては、4MeVのX線源の利用が可能であることから、厚さ50cm以上のコンクリート内部の鋼棒など構造部の計測や状態把握が可能となり、非破壊での橋梁定期点検などに活用できます。
 また、構造図面に基づくX線透過シミュレーション結果をX線透過撮像と統合化することで、内部の状態を高精度・効率的に評価できるようにすると共に、従来の透過型画像では得られない深さ方向の情報について、照射方法を工夫することで3次元情報として取得する可能性も検討しています。

実際の橋梁(箱桁内)における撮像の様子

60cm厚コンクリート内部の可視化例