研究内容紹介(要約)
放射性物質や微量同位体など存在量の極めて少ない物質を、高感度レーザー吸収分光法を利用して計測する新しい分析装置の開発に取り組んでいます。エネルギー分野・環境・医療など様々な領域への貢献が期待されます。
長谷川研究室では、放射性物質や微量同位体など存在量の極めて少ない物質を、レーザー分光法を利用して計測・可視化する新しい分析装置の開発に取り組んでいます。本研究は下記をはじめとして様々な領域における様々な分析への貢献が期待されます。
多様な領域に貢献! 〇原子力工学分野や原子力・放射線関連施設の安全な運用・廃止 〇環境計測・モニタリング(放射性物質・有害物質・温室効果ガスなど) 〇医療・医薬品開発(同位体利用) 〇宇宙・物理・考古学(同位体測定・年代測定) など
要素技術の開発
世の中にない全く新しい分析装置の実現は一筋縄にはいかず、様々な技術を多角的に開発し結集する必要があります。代表的なものを以下に示します。
1.分光用高安定・狭線幅・波長可変レーザー光源技術
当研究室では長年培ってきたレーザー技術を活かし、応用先に合わせて外部共振器型半導体レーザー(ECDL)を自作するなど、分光分析のための様々なレーザー光源を開発・活用しています。
2.高反射率光共振器を利用した強化型吸収分光
反射率が99.9%を超える超高反射率ミラーで構成された光共振器を利用し、その感度を飛躍的に向上させた共振器強化型吸収分光法(キャビティリングダウン吸収分光: CRDSなど)により、微量な物質であってもセンシングが可能となります。対象やレーザーの波長などにも依存しますが、その感度は割合で10-12(parts per trillion: ppt)から10-15(parts per quadrillion: ppq)にもなります。
3.試料導入系(蒸気化・原子/分子化技術など)
試料中の測定対象物質をレーザー分光で測定できる形にするためにはその形態を適する形に変換する必要があります。このための手法には、レーザーを用いた方法(例:レーザーアブレーション)・抵抗加熱など熱的な変換手法(例:焼熱管、ホットキャビティ)・プラズマを利用したもの(例:グロー放電・誘導結合プラズマなど)・化学触媒を用いた手法など様々なものがあります。
4.装置制御・データ取得・解析系
実験データの取得・解析・自動化のために、FPGAなどの先進技術を活用しています。また、Python・LabVIEWなど様々なプログラミング言語を活用しています。
現在進行中のテーマ
●グロー放電-キャビティリングダウン分光法による放射性核種の迅速簡便分析法の開発
●金属分子同位体置換体の高感度検出技術の開発
●環境計測に向けた高感度赤外キャビティリングダウン分光法の開発
この他にも、レーザー技術を活用して様々な研究を行っています。ぜひお気軽にお問い合わせください!